手塚 広一郎

  • Koichiro Tezuka
    福井大学教育地域科学部助教授。昭和46年9月16日生まれ。愛知県名古屋市出身。平成12年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。専攻は、物流・ロジスティクス論および交通論、公益事業論など。物流、交通、公益事業などの諸産業について経済学的な見地から分析を行うことを主たる研究分野としている。

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最終回 いままでの話をまとめてみます・・・

 こんにちは。もう5月の半ばを過ぎました。春も終わりになり、もう少しすると梅雨にはいるという時期になりました。そして、連載に関していえば、これを始めて一年が過ぎて、今回いよいよ最後となりました。
 私の連載では、私は思いつくままに考え方やら、トピックを提示してきました。そこで、この最終回は、私がお話した内容について、ごく簡単にまとめてみようと思います。厳密には、「まとめる」というよりは、「こんな話をしましたよね」という確認と言ったほうが良いかもしれません。それともうひとつ、確認をすると同時に、これを読んでこの分野に関心を持った方がいらっしゃった場合に、これから何を行う必要があるか、ということについても触れます。その中で私の考えていることをお話しようと思います。

■ ロジスティクスの考え方 ―キーワードの見直し―

 そこで、まずはいままでの話を簡単に思い出してみましょう。ここから読まれる方は、最初のところから読んでいただくことが(分量もそれほど多くないので)ベターです。もう既に読まれた方は、以下で一連のキーワードをご覧になりながら、これまでの話がどんなものだったかを思い出してみてください。
 最初でお話をしたように、ロジスティクスとは、原材料の調達から、生産を行ない、最終消費者に至る一連のモノの流れを管理する考え方でした。そして、それを「論じる」というのは、何らかの目標に応じた基準というものを持ってきて、その基準から望ましい状態かどうかという評価を行なうというものでした。
 この連載の中ではその目標として、利潤(収入から費用を引いたもの)を最大にするということを挙げていました。そして、利潤を最大にするという目標を達成するためには、費用を削減する、あるいは(モノの流れに関する)サービスの質を高めていく、という選択肢があるけれども、これらの2つの選択肢には時として「トレードオフ」の関係が生じるという話もしました。(このトレードオフという言葉については、第4回の中で説明しました。もし必要ならちょっと読み返してみてください。)
 具体的に、モノの流れを管理するという見方のもとでの「トレードオフ」についていえば、サービスの質、必要なものが必要なときに入手できることと、そのためにかかる費用との間の関係、すなわち「在庫管理の問題」が主たる問題になる,ということも話しました。つまり、「欲しいモノが欲しいだけ欲しいタイミングで最終消費者のもとに届く」ということが、サービスの質の面では望ましいし、必要である一方で、そのためには時として製品の保管(在庫)が必要になってきて、それには費用がかかってしまいます。逆に、費用を削減しようとすると、上のようなサービスの質を下げなければいけない可能性もあります。そうであるならば、どのようなタイミングでどの程度の在庫を持つ必要があるかということが問題となり、それがいわゆる「在庫管理」の基本にある問題でした。また、「在庫管理」に関連して,実際の事例ということで、まったく在庫を持たない企業の例というお話もしましたね。
 それに加えて、次のようなことについても言及しました。在庫管理の問題は、主として一つの企業の中での意思決定の問題として考えられるものです。しかしながら、最近では、サプライチェーン・マネジメントという、垂直的な関係にある企業の間でのモノや取引などの流れを最適化するという考え方が出てきました。この場合、一つの企業が直面する問題と比べて、取り組むべき問題がより複雑になります。
 上のような話は、企業経営をベースとしたミクロの視点の話でした。こうしたミクロの視点に加えて、物流産業の分析や、輸送のためのインフラストラクチャーの整備・運営に関する政策的な視点、すなわちマクロの視点がある、ということもお話しましたね。私の連載では、あまりマクロの視点については多くをお話できなかったのですが、前回「総合物流施策大綱」という政府の物流に対する政策の概要をご紹介しました。また、物流産業に関しても、物流産業を取り巻く規制や市場の環境がここ十数年の間に変化しています。関心がある方は、これまでに紹介した文献のなかでこの点について触れているものもあるので、ご覧になってみてください。
 最後に、この連載で言及したかったにもかかわらず、あまり深くお話しなかったこととして、国際的なモノの流れに関することがあります。例えば、最近では、日本の企業が中国に展開しています。それも、単に原材料や加工品を日本に輸入したりするだけではなく、中国という市場に対して参入をするということも進んでいるようです。こうした流れの中で、モノの流れ、あるいはサプライチェーンをどのように管理するか、ということも大きなテーマのひとつです。

■ 何をもとにして考えるか?

こうしていままでの話をみてみると、ロジスティクスであるとか物流という話の中には、本当にいろいろなトピックが入っていることがわかります。こうした内容の多さのために、私の一連の連載では、ロジスティクスに関して扱われている問題とキーワードの「さわり」を紹介する形になりました。
 これをお読みになって、「ロジスティクスに興味をもったけれども、いったい何を勉強すればよいのだろうか?」という疑問をもたれた方もいらっしゃると思います。
 この疑問に対する答えとしては、これは私の考えですが、次のように考えています。つまり、実際の実務にすでに携わっているような方は、実務を行う上で必要な知識(在庫管理のノウハウなど)を関心に応じて参照されることが必要かもしれません。それに対して、いま高校生ですとか大学生の皆さんは、そのような実際に物流やロジスティクスに携わるという経験がないと思います。(もちろん私もそうです。)ですので、こうした場合、企業の事例を調査するという作業も必要になってくるかもしれません。
 ただ、私が考えるに、そうした事例を見つけてくるということ以上に、現象というものをどうやって評価するか、という評価の道具(さしあたって,ここではこれを方法論と呼ぶことにします)を身につけることが重要であると考えています。つまり、モノの流れというのは一つの現象であって、その現象に対してどのような方法(道具)をつかって考える(斬る)かが問題となります。単にある企業の事例のような現象だけを見ていても、それが果たしてどんな状態なのか、ということを客観的に判断することは容易ではありません。
 そこで、上の疑問の答えとしては、モノの流れがどうなっているかという現象を観察するということと、観察を行なう前提として、何らかの評価をするための方法論を身につけるということがあります。その後、方法論を用いて現象を分析する、いいかえれば「(私の考えるところの)研究をする」ということになります。

■ 考えのもととなる研究分野とは?

なんだか最後になって抽象的な言葉が多くなってきました。方法論であるとか,分析の道具などといわれても、なかなかイメージがわきにくいと思います、そこで、ロジスティクスを論じるために参考となりそうな分野を思いつくままに挙げてみたいと思います。
 まず、モノの流れというものは、同時に商品の流れという話を伴います。したがって、原材料の調達から、最終消費者までの財の流れの関係(垂直的な関係)についていえば、いわゆる「流通論」と呼ばれる分野がこれに該当すると思われます。ただし、流通を考えるという場合に、垂直的な取引関係をどのような見方で考えるか、ということについてはまたさまざまな見方があります。そこで、「流通論」だけではなく、経済学の中の「産業組織論」という分野ではこうした垂直的取引についての検討が行なわれています。私個人としてはもっと経済学的な話を入れたかったのですが、この中ではあまり触れていません。関心のある方は、「産業組織論」というタイトルのついた本をご覧ください。(ただし、注意すべきこととして、これらの本がロジスティクスや物流について触れているというわけではありません。)
 一方で、「在庫管理」ですとか、「サプライチェーン・マネジメント」という話になってくると、「経営工学」の分野が大きく関係してきます。この連載の中で紹介した在庫管理のモデルよりも現状はもっと展開しています。また、「生産管理論」という分野にもつながりがあります。特に「経営工学」を勉強するには、きちんと「数学」を勉強する必要があると思います。もちろん他の分野でも数学的な考え方が重要であることは、いうまでもありません。
 他にも、ロジスティクスという言葉、あるいは概念について、これまでどのように考えられてきたかという概念の変遷などを整理したものや、物流に関する具体的な諸手法などについては、これまでにご紹介したような本をお読みになると良いと思います。
 マクロの物流に関していえば、道路や港湾などのインフラストラクチャーの整備・運営とモノの流れ、そして経済全体への影響などに関する分析や、物流産業を対象として分析を行うという方法もあります。物流産業に関しては、前述の「産業組織論」がこうした産業の分析をおこなうひとつの方法を与えてくれると思います。また、前者のインフラストラクチャーの整備に対する経済的な影響などの議論に関しては、「都市計画」などの分野や、他にも例えば、「交通経済学」と呼ばれる分野でも触れられています。
 以上、思いつくまま、「こんな分野がありますよ」という感じで簡単な紹介をしました。ロジスティクスを論じるうえでの分析の方法論としては、実のところ、工学的なもの、マーケティング的なもの、あるいは経済学的なものなどさまざまなアプローチが混在している、という印象を私は持っています。

■ ロジスティクスを論じるために

 さて、いま上で挙げたような研究分野の方法論からひとつ取り出したとしましょう。ロジスティクスを論じる場合、その道具を使って、現象に対して評価を与えることが求められる,といいました。このとき、観察の対象となる事例ですとかデータということが必要になってきます。つまり、道具をそろえたので材料を調達するようなイメージです。ロジスティクスを論じるということに関して、以前にも練習問題としていくつかの質問を設けました。こうした質問に答える形で話を進めても良いと思います。
 ここで注意したいことは、繰り返しですが、何らかの評価を伴わない単なる事例や知識の紹介では、少なくとも分析としては(あるいは論じるという意味では)きわめて不十分であるということです。その一方で、単に分析の枠組みや仮説のようなものを提示して、それを裏付ける現象がなければ、応用をする上での説得力に欠けてしまいます。したがって、これら2つをバランスよく身につけることが、こうした現象を見るうえでは重要であると、私自身は考えます。その際、「何が問題となっているか」という問題を見つけることは、現象を観察する上で重要な項目のひとつです。
 そして、上での方法論から提示される一連の論理と観察をして得られた現象との整合性をどのように持ってくるかということが、腕の見せどころです。その際、一見したところ直接的には関係しないように見えるかもしれませんが、数学のトレーニングが非常に役に立つと思います。(理由は,石井先生や安田先生の最終回のページで述べられています。必見です!)
 さらに、より多くの情報などを手に入れるという意味で英語などの語学を身につけておくと良いですね。ものの見方の幅が広がると思います。もちろん、自分の考えを論文にまとめるということであれば、国語(文章力)も必要になってきます。こう考えると、なんだかやることが多いですね・・・・・・

■ むすびにかえて

 以上のように、とりとめもない話をしてしまいましたが、研究をするという意味では、次のような段取りで進めると良いかと思います。
 まず、このロジスティクスの連載をお読みになった方は、この一連の話の中のどのような点に関心を持ったかを考えてみてください。そして、研究のきっかけとして、これまでにご紹介した文献を読んでみるというのはひとつの手だと思います。その一方で、今回の最後にご紹介した分析の方法論、経営工学でもマーケティングでも経営学でも経済学でも結構ですので、ご自身の関心のある方法論を身につけてください。その後、事例などを調べて、ご自身の選択した方法論でその状態を評価してみてください。特に学生の皆さんは、本を読む時間が比較的確保しやすいと思います。ロジスティクスに限らず、いろいろな本を読んで、ご自身の引き出しを増やしておくといろいろと役に立つと思いますよ。
 なんだか最後はロジスティクスというよりももっと広い話になってしまいましたね。
 ここでの連載は、これで終わりです。ここまで読んでくださってありがとうございました。また機会があればお会いしましょう。

■ 参考文献

最後にいくつかの文献を紹介します。

本連載ではあまり触れなかった物流業の国際的な展開に関する分析については、以下の本をご紹介します。

宮下國生『日本物流業のグローバル競争』千倉書房
Nihonbutu

ロジスティクスを考える上で、次の本も参考になると思います。

苦瀬博仁『付加価値創造のロジスティクス』税務経理協会
Fukakati
また、マクロのとくに都市計画的な見地からロジスティクスを論じた本として次の本があります。

谷口栄一・根本敏則『シティロジスティクス』森北出版
City
また、ロジスティクスというわけではないのですが、経済学による産業分析の方法論として以下の本を紹介します。

植草益・井手秀樹・竹中康治・堀江明子・菅久修一『現代産業組織論』NTT出版
Gendai
最後に、これもロジスティクスではないのですが、以下の本を紹介します。

山内弘隆・竹内健蔵『交通経済学』有斐閣アルマ

Koutuu

政府による物流への対応―「総合物流施策大綱」のごく簡単なご紹介

 こんにちは。もうすぐ桜が咲く時期になりますね。さて、この連載もいよいよあと2回となりました。ありきたりな感想なのですが、はじめのうち、7回も原稿(このブログの連載ですね)を書くなら、かなりいろいろ書けるだろうなぁと考えていたのですが、話があっちに行ったりこっちに行ったりしてしまって、思いのほか盛り込むことのできる内容は限られてしまった感があります。
 これまでお話した話以外にも、例えば国際物流の話などもしたかったのですが、残念ながら十分に触れることはできなさそうです。こんなに余計な話(?)をしたり、あっちこっち話がふらふらとするのは、私の性格をそのまま表してしまっています。ああ、また話がずれていますね。
 言い訳のようで恐縮ですが、私の連載をお読みになった方は、この連載読むことですべての情報を得ようとするのではなく、むしろあくまでもこのような現象を考えるきっかけと考えていただければ,と思います。特に、高校生や大学生の皆さんは、私がこれまで、そして次回紹介する参考文献などを読んだり、前回に出した練習問題を考えてみたりしてださい。

■ 物流の効率化とその一国経済への影響
 では、そろそろ今回の話をはじめましょう。前回の話の最後で、今回はマクロの話をしたいと考えているという話をしました。こちらでいうところの、マクロの話というのは、どちらかといえば、個別企業レベルの話ではなくて、産業レベル・市場レベル、さらには一国の経済レベルの話を指しているという話をしました。ロジスティクスですとか、あるいは物流といったものが、こうした広い範囲でどのような議論がされているか、これは,第2回にも触れたと思います。例えば、それはいわゆる道路貨物輸送業者であったり、あるいはインフラの整備であったりと、企業の経営とはやや異なった視点での検討が行われています。
 とりわけ、以前にお話したように、モノの流れを効率化するということは、企業の経営における利潤の源泉になりえます。また、こうした利潤の源泉は、集計的つまり、国などの一国の経済全体でまとめてみた場合、一経済の付加価値の総和であるところのGDP(Gross Domestic Product)の伸びや、国全体の生産性に反映されるわけです。誤解を恐れずに大雑把な表現をしますと、他の条件が一定だとして、集計的にみて物流の効率化が進むような場合には、おそらくそれは、GDPの伸びに寄与することになるでしょう。
 さて、わが国におけるモノの流れ、とくに実際に物を輸送するということを考えると、輸送の効率化は、道路や空港・港湾、そして鉄道などのような社会資本の整備に依存して変化すると考えることが自然であると考えられます。つまり、きちんと道路や港湾が整備されていれば、それだけ効率的に物を運ぶことができることが予想されます。
 基本的に、こうした社会資本の整備・運営は、政府が直接的に行ったり、あるいは間接的に関与することになります。ですから、国の経済レベルからも、例えば社会資本の整備などの局面から、物流ないしはロジスティクスに関するに影響を与えることになるといえます。余談ですが、マクロ経済的な見地から、わが国の社会資本が国全体の経済の生産性にどれだけ寄与している(寄与してきた)かについての実証分析も行われているようです。
 実際、ここの企業などによる物流の効率化がいくつかのプロセスを経て、集計的に、国の経済に影響を与えるというものであるとすれば、社会的な要請から(「社会的」という言葉を簡単に使っていることをお許しください。ここでは全体的に見てという意味で考えています)、こうした物流の効率化に対して政府ないしは公的な主体が何らかのサポートする必要があるのではないか、という議論もでてきます。
 とはいえ、注意すべきこととして、政府の関与の形態はさまざまです。社会資本の整備もそうでしょうし、時として規制によって経済活動に対しての関与をするという選択肢もあるでしょう。この場合、通常の企業の経済活動の見地からすれば、政府が関与して、民間企業の投資機会を損ねたり、あるいは経済活動を規制するということが、市場に対してのマイナスの影響を与えることもひょっとするとあるかもしれません。したがって、どの程度こうした活動に関与すべきか、ということは別途議論を行う必要があると思います。

■ 「総合物流施策大綱」のご紹介
 しかしながら、さしあたって、ここではそうした規制などを含めた政府の関与のあり方に関する議論は脇におきましょう。わが国における物流に関する政府の対応策について、ごく簡単にご紹介します。
 2005年11月に「総合物流施策大綱(2005-2009)」が閣議決定されました。これは、平成9年(1997年)に最初の物流施策大綱が設置された後、平成13年(2001年)に「新物流施策大綱」が設けられ、それに続くものです。
 いったい、「総合物流施策大綱」とは何だろう、と思われるかもしれませんね。実は、正直に手の内を明かしてしまうと、私も詳しく知っているというわけではないのです。ですが、平成9年の最初の物流施策大綱などを見てみると、「総合物流施策大綱」が意図することは、次のようなことだと思われます。すなわち、物流に関する課題に政府としても取り組むことが非常に重要になってきたので、関係省庁が問題意識と目標を共有して、それぞれが連携して施策を講じていくことにより、こうした課題に取り組みましょう、というものです。つまり、物流に対する目標を掲げて、それらの目標について、政府ないしは各省庁レベルで対応できることを進めていくということを意図するものです。この目標は、平成9年の総合物流施策大綱、平成13年の新総合物流施策大綱、および平成17年の総合物流施策大綱(2005-2009)、それぞれについて異なります。もちろん、したがって,設定されている目標によって、政府の見地で何にウェイトが置かれているか、どのような具体的な対応をするかなどの意図を見て取ることができます。
 現時点で一番新しい「総合物流施策大綱(2005-2009)」では、次の4つの目標が掲げられています。

 ①スピーディーでシームレスかつ低廉な国際・国内一体となった物
  流の実現
 ②「グリーン物流」など効率的で環境に易しい物流の実現
 ③ディマンドサイドを重視した効率的物流システムの実現
 ④国民生活の安心・安全を支える物流システムの実現

 これらの目標は、これまでにお話した企業・企業間レベルのミクロの物流とも密接な関連を持つことが容易に見て取れます。ただ、これらの4つの目標を見ていると、いわゆる物流を効率化して生産性を高めるという目標のほかにも、環境に関する問題、安全に関する問題などが挙げられています。特に、環境や安全については、最近の情勢に対応したものであるといえます。
 では、こうした目標について、政府や関係する省庁はどのような形で具体的に関与していくか、あるいは対応していくかということですが、もちろん検討されています。例えば、4つの目標のうち最初の目標である①「スピーディーでシームレスかつ低廉な国際・国内一体となった物流の実現」に関しては、次のような具体的な施策が挙げられています。以下、総合物流施策推進会議『今後推進すべき具体的な物流施策』より引用します。

 まず、1)国際的拠点港湾・空港の機能向上、というものです。具体的には、①国際基幹航路確保のためのスーパー中枢港湾の推進、②東アジアSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築、③拠点港湾の機能工場の推進、④急増する航空貨物需要や翌日配達ニーズに応えた対都市拠点空港の整備・活用、が挙げられています。
 もうひとつは、2)国内外の物流ネットワークの構築、が挙げられています。この中には、①国内トラック輸送の円滑なネットワークの構築、②内航海運・鉄道輸送等との円滑なネットワークの構築、③増大するアジア域内需要を担う事業運営体制のあり方、などが項目として挙げられています。
 そして、3)国際物流におけるロジスティクス機能の高度化、が三番目に挙げられています。これには、①国際物流の高度化に資するロジスティクス・ハブの形成、②国際拠点港湾におけるロジスティクス機能向上に向けた公共的施設運営の改善、③国際拠点空港におけるロジスティクス機能向上に向けた公共的施設運営の改善、④輸出入・港湾手続き等の簡素化・電子化と民間物流業務の電子化促進、という項目が具体的な施策として含まれます。

 以上、非常に長々と引用してしまいました。ここで、申し上げたいのは、このひとつの目標に対しても、空港・港湾の整備のような話から、輸出入や港湾手続きなどの簡素化・電子化の話にいたるまで、幅広い内容にわたっていることが見て取れる、ということです。実際には、これらの項目について、さらに具体的な施策が書かれています。したがって、詳細については、以下でご紹介するホームページにてご覧いただくことにしましょう。
 いずれにしても、これら設定された4つの目標に対して、さらに細かく具体的な施策(政策の選択肢)があります。もちろん、いまご紹介した、①「スピーディーでシームレスかつ低廉な国際・国内一体となった物流の実現」という目標だけではなく、他の目標についてもそれぞれ具体的な施策が挙げられています。

■ ちょっと考えてみてください
 本来、こうしたことに関して、政策に対する評価というかコメントをする必要があると思うのですが、あまりにも取り上げられている施策の範囲が広いので、コメントをしないで、かわりに今回もまた、ちょっとだけ練習問題を出そうかと思います。
 総合物流施策大綱において掲げられる目標と、その目標に対する、上で上げたような一連の具体的な施策について、1)自分の関心のある施策をとりあげて、それがどのようなものかを調べてみてください、2)その取り上げた施策についてその施策を行うことでどのようなメリットがあるか、あるいは3)実施に当たってどのような論点が生じうるか、ということについても考えてみてください。例えば、環境や安全などについては、企業レベルで検討したミクロの物流とは違った論点が出てくることは容易に想像できると思います。ただ、これは、ちょっと手間がかかる練習問題かもしれませんね。
 さて、次回が最後となりました。最終回は、これまで私が、あちこちふらふらとお話したことをまとめてみたいと思います(かなり無謀な試みですが・・・)まとめをする際に、話したりなかったことの補足や参考になる本などのご紹介もしたいと思います。では、またお会いしましょう。

(最終回は5月18日更新予定)

<参考にしたホームページ>
 今回参考にしたHPは以下の通りです。総合物流施策大綱(2005-2009)などは、以下のホームページなどからダウンロードできます。これはロジスティクスと直接関係はない話なのですが、最近はこのような書類がインターネットでかなり容易に入手できるようになりました。ですから、これをお読みになっている大学生の皆さん、特に来年卒業論文を書くという人は、自分の関心のある分野について、例えば金融であったり、環境であったりするでしょう、各省庁のホームページに入ってみて、いろいろと調べてみると面白いものが見つかるかもしれません。

国土交通省のホームページ
 http://www.mlit.go.jp/index.html
総合物流施策大綱(2005‐2009)について
 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/15/151114_.html

具体的な例を挙げながらふたたびロジスティクスを考える

■ いま現在、日本海側は「大雪」です
 こんにちは。この連載もいよいよ第5回目となりました。春から始めた連載ももう冬になってしまいました。さて、私の勤務先は、いわゆる日本海側にあるのですが、昨年(2005年)の12月半ばからすごい雪が降りました。現時点(2006年1月初め)でもかなり雪が降り、積もっています。
 雪も大雪となると、電車がとまったり遅れたり、あるいは高速道路が閉鎖されたり、飛行機が欠航したりと色々なことが起こります。モノの流れを構成すると考えられるこれら輸送活動に支障が生じれば、簡単にご想像いただけるかと思いますが、最終的な消費者である私たちに対しても大きな影響を与えることになります。例えば、近くのスーパーなどで野菜を買おうとしても、いつものような品揃えは期待できないことがあったり、あるいは、同じモノであっても値段が高くなってしまったりします。キャベツなどの値段もそうですよね。(もっとも、これは輸送に問題があるというよりも、気候によってキャベツが育たないことに起因することかもしれませんね。)
 ここで、注意していただきたいことは、毎回同じようなフレーズで申し上げているように、モノの流れがスムーズではないということが、消費者にとって、そしてそれは財・サービスを提供する企業にとっても、望ましいとは言えないような状態を生じさせてしまうのです。
 これは、直観的なイメージでお話するのですが、ロジスティクスや物流を論じる文脈で、モノの流れはしばしば血液の循環のそれに例えられることがあります。血液の循環(血行)がスムーズでなければ、体にとっては望ましい状態ではないのです。(高校生の皆さんには、まだそのような実感は湧かないかもしれませんね。)モノの流れも、それと似たようなイメージで捉えていただければ、と思います。血行が良くない場合には体に負の影響があるのと同じように、経済の中でモノの流れがスムーズに行かないと、消費者の満足、企業の利潤、あるいはその他のなにかにとって、望ましくない形で現れると考えられます。(本来、この「望ましくない」という表現については、もうすこしきちんと考える必要があるのですが、ここでは直観的な既述にとどめることをお許しください。)

■ 事例についての簡単なご紹介
 血液の流れのイメージを持っていただいた上で、今回は、ロジスティクスにおけるミクロの側面についての最後の話をしたいと思います。(繰り返しで恐縮ですが、ここで言うミクロとは、経済学で使うところの「ミクロ」とは若干意味が違うことに注意してください。詳しくは前に私の書いたところを参照してください。)
 これまで、ロジスティクスという話をしてきました。そして、その中でサプライチェーン・マネジメントという話についても触れましたよね。そこで、今回はひとつの例として、クリナップという会社のロジスティクスについてごく簡単にですがご紹介したいと思います。この企業は、いわゆる「ロジスティクス」という概念を示すひとつのモデルとみることができるものです。

 この企業は、ご存知のように、主としてシステムキッチンを提供する会社です。ロジスティクスないしは物流の管理に関しては、子会社のクリナップ・ロジスティクスという会社が担当しています。
 さて、ロジスティクスを論じるという観点からこの企業を見ると、ひとつの大きな特徴があります。それは「在庫を持たない」という特徴です。在庫を持たないということは、大雑把に言いかえれば、何かの倉庫があって、システムキッチンの製品の保管を行っていないことになります。
 それでは、なぜ、在庫をもつ必要がないのでしょう。実際、かつてはこの会社も倉庫に製品を保管し、在庫を持っていたようです。それでは、なぜ現在のような形になったのでしょう。
 それを考えるために、まずは、在庫を持たないという仕組みを導入した背景を考える必要がありそうです。
 ところで、この企業が取り扱うシステムキッチンの需要は、新築の住宅数に依存するのだそうです。ただ、ここ十数年の傾向として、新規の住宅着工数が減少しており、その分だけ、効率的な運営が必要になってきました。その際、在庫という形でモノがどこかに滞留している状態は、企業にとってそれ自体利益を生まないだけではなく、保管することにともなう費用も発生します。
 もちろん、つねに生産すればそのまま売れるという状態のもとでは、そうした保管というのがさほど問題にならず、むしろ大量に生産したものをいかに迅速かつ低コストで顧客(消費者)に提供するか、ということが問題になります。この点は、前にお話した通りで、この会社に限った話ではないことは想像できますよね。
 もうひとつ、需要そのものが減少していることに加えて、いわゆる「品目の多様化」ということも背景にあります。顧客ごとに好むものが異なっている場合、そうしたニーズに対応しようとすれば、自ら様々な種類の製品を生産する必要が出てきます。その場合、もしそれらの製品を保管するということになると、同じ種類のものを保管する場合と比べて、多くの種類のものを「在庫」として保管することは、直観的に考えてもより多くの費用がかかりそうです。

 このような、需要の減少と商品の多様化という背景などによって、この会社はCPS(Cleanup Production System)というシステムを開発し、運営するに至っているそうです。これは、「受注から生産、配送、納品に一貫性を持たせ、物流システムを含めた独自の受注生産方式(クリナップ社、Cooperate Profileより引用)」したものです。基本的な構造は、上の通りで、シンプルです。すなわち、顧客からの発注を受けて(受注して)から生産をするわけで、「商品はすべて受注後の生産で在庫は発生しません。(同上)」もちろん、大量に生産して、保管して顧客に届けるという仕組みから、このような仕組みに変えることは容易ではありません。したがって、この企業は、いくつかの段階を経て、現在のような仕組みを形成したとのことです。
 さて、この場合問題になるのは、「リードタイム」と呼ばれるものです。たしかに、注文を受けてから、生産をすれば、在庫は発生させないで、顧客のニーズに合ったものを提供することができるでしょう。しかしながら、顧客が注文してから手元に届くまでの時間が、余りに長いということであれば、それは良いものであるとは言えません。
 詳しい話は、可能であればどこか別の機会にご紹介したいと思いますが、この企業は情報化(IT化)をすすめることと、生産から顧客の手に製品が届くまでの包括的なモノの流れを効率化することで、在庫を持つことなく、受注から生産・顧客への製品の提供までの時間を短くすることを可能にした、ということです。こうしたシステムを、クリナップ社は、CPSと呼んでいますが、このシステムは、私がこれまでにお話した、ロジスティクスないしはサプライチェーン・マネジメントと呼ばれるものに対応していると考えられます。

 「あれ、説明はこれだけ?」と思われるかもしれません。本当に申し訳ありません。私の意図としては、CPSについて、もう少し詳しくご紹介したかったのですが、これを書いていて、実はきちんと紹介するには、文字数(紙面)が足りない、ということに気づきました。詳細については、別の機会にまとめて、参考文献としてご紹介できれば、と思います。
 ところで、このクリナップ・ロジスティクスは、SLIM(Strategic Logistics Information Management)という情報システムのもと異業間での共同輸送という試みもしています。これも非常に面白い話です。関心があれば、HPなどで調べてみてください。私も次回以降で共同配送についてお話したいと思います。

■ 具体的な製品の流れからロジスティクスを論じる
 話を「在庫を持たない」ということに戻しましょう。クリナップ社の在庫を持たないというこのシステムは、例えばウーロン茶のようなモノでも当てはめて考えることは可能なのでしょうか?これは、答えることが非常に難しい問題ですが、おそらく「そのまま適用することは難しい。」と考えることが自然でしょう。その理由のひとつとしては、財の特質の違いが挙げられます。例えば、システムキッチンとウーロン茶とを比較して、ウーロン茶がほしいと思っているときと、システムキッチンを入れたいというときでは、顧客が欲しいと思ってから手元に届くことに対して許容できる時間(リードタイム)は異なるでしょう。コンビニにウーロン茶がないケースを考えてみてください。それを想像すると、ウーロン茶に関して言えば、在庫を持つということの合理性はあるように思えます。他の製品についても考えてみてください。前回、私の例としてあげた携帯電話はではどうでしょうか?あるいは、最近よく広告で見かけるような受注してから組み立てて,届けてくれるようなコンピューターはどうでしょう?
 じゃあ、これがひとつの特殊な事例で全く当てはめることができないものかというと、決してそんなことはありません。例えば、情報技術の問題は、ウーロン茶を含めたモノの流れに対してもある部分適用することが可能でしょう。ここで、申し上げたいことは、そうした事例あるいは取り上げる仕組みについて、他の製品と共通した項目と、その製品独自の項目があるということを見た上で、それらを整理して何らかの共通した部分を抽出することが、「ロジスティクスを論じる」という上では必要な作業のひとつであるということです。
 そこで、再びロジスティクス、あるいはサプライチェーンを論じるということを考えてみましょう。ここでは、一連の(モノの)流れに関してそれぞれの機能の集まりをシステムと呼ぶことにします。このとき、なぜ、このようなシステムを導入するに至ったのか、あるいは、このようなシステムはどのような望ましさ(ないしは合理性)をもっているのか、それらの合理性もたらす源泉とは何か、などのような疑問が出てきそうです。
 これまでにウーロン茶がどこから来たか、という話をしましたね。私がそのような例を出した意図のひとつは、「ああ、こんなに色々なモノの流れの段階を経てここまできているんだ。」と考えていただくことにありました。
 今回はそれに加えて、上で述べたように、ウーロン茶のような何かの製品のモノの流れの仕組み(システム)について、繰り返し申し上げて恐縮ですが、「どのような背景のもと、どのような目的のもとで、現状のような仕組みでモノの流れが管理されているのか、そしてそれをどのような合理性や望ましさを有しているのか、他の事例と共通するところがあるのか?」などと考えていただければ、と思います。私が最初の回で申し上げた「斬る」と言う言葉に対して与えた気持ちは、そこにあります。
 このように考えると、ロジスティクスを論じるという場合には、何かの事例を取り上げて、上手く行っている企業のノウハウを紹介するという成功談を紹介するだけでは不十分です。何度も申し上げますが、それが成り立つ前提条件(システムキッチンと清涼飲料水ではどのように前提条件が変わるか)、現在のシステムの導入に至る経緯(これまで、どのような問題があってそのようなノウハウが導入されるに至ったか)、およびそのシステムの持つ合理性などについて、何らかの基準に照らして、論理を組み立てていく必要があると思います。モノの流れ自体はひとつの「現象」であると考えられます。従って、その現象に対して、論理を組み立てる際に、色々なツール(経済学や経営学など)を活用する必要があるでしょう。(この話は、何度もしているので、ちょっとくどいという印象をもたれるかもしれませんね。)

■ 練習問題を考えてみましょう
 以上のような手続きを踏んでそれぞれのモノの流れの仕組みについて、きちんと調べて、整理していくと、いろいろと面白いと思います。さて、以上でロジスティクスのミクロの話は終わりなのですが、思考実験として、ちょっと難しいですが、お時間があるときにでも、以下の問題を考えてみてください。

1.私がウーロン茶の話をしたように、皆さんも何か身近なモノを取り
  上げて、それについて、これがどこから、どのような過程(モノの
  流れ)を経て自分の手元にきているかを考えてみてください。
2.そのモノについて、それが具体的に、どのような仕組みで消費者
  の手もとにきているかを、新聞、雑誌、企業のホームページなど
  で調べてみてください。特に、もしこれをご覧の方で就職活動に
  関係する大学生の方がいらっしゃれば、企業パンフレットに物流・
  ロジスティクスのシステムについて紹介されていないか、見てみ
  てください。
3.その仕組み(システム)は、どうして現在のような形に至ったか考
  えてみてください。原材料の調達の方法や生産の方法、輸送の
  方法などについて、そのモノの特徴を見ながら、考えてください。
4.この仕組みの合理性について考えてみてください。すなわち、何
  かの基準に照らして(例えば、費用であるとかリードタイムなど)
  この仕組みのもつ望ましい性質を示してみてください。
5.この仕組みでの問題点はないかを考えてみてください。また、企
  業や市場を取り巻く状況が変わった場合(例えば、原油価格が
  上がったり、政権が変わったり、あるいは何かのブームが起こっ
  たり・・)この仕組みは変化する可能性があるでしょうか、あわ
  せて考えてみてください。もうひとつ、ここで挙げられる問題点に
  対して、どのような対応をしているかも考えてみてください。

■ むすびにかえて
 さて、以上でかなり大雑把な話ですが、ミクロの側面の話は今回までにしたいと思います。次回からは、企業の側面からロジスティクスを論じるというよりはむしろ、経済におけるモノの流れに関しての議論、すなわちマクロの側面についてお話したいと思います。とりわけ、物流に関係する政府の諸政策に関連した内容を中心に話をしたいと思います。
 では、またお会いしましょう。

今回、参考にしたHPは以下の通りです。
クリナップ株式会社 http://www.cleanup.co.jp/
(次回は3月18日更新予定)

ロジスティクスとサプライチェーン・マネジメント

 こんにちは、今回はいろいろとお話したいことがあるので、さっそく本題に入りましょう!
 前回、物流におけるサービスの質の話と、その話をもとに、在庫管理の話を簡単にしましたね。その際、ひとつの言葉「トレードオフ」という言葉を思い出してください。これは、大雑把に言って、「あちらがたてば、こちらがたたない」というような意味で、具体的には在庫を多く持てば、それだけコストがかかりますし、一方で在庫が少ないと、ほしいものがほしいタイミングで得ることが難しくなる、という関係を説明するために用いました。
 ところで、物流におけるサービスの質ということを考える場合には、前回お話したように、消費者の「需要に対応する」ということが重要になると思います。ここで「需要に対応する」という言葉は、“欲しいモノを欲しい量だけ欲しいタイミングで提供する”という意味で使っています。この点は、前回の例でお話をした通りです。(ここで用いている需要という言葉の意味は、経済学でいうところの需要とちょっと意味合いが違うかもしれません。)
 こうした意味で「需要に対応する」ことができているほど「サービスの質が高い」と考えるならば、物流サービスの質を評価することに関連して、より詳細な項目を考えることができるでしょう。そこで、今回は手始めにそれらの項目を列挙することで、物流サービスの質についてもう少し詳しく考えてみましょう。

■ 物流サービスの質と「需要への対応」
 さて、いくつかの文献において、物流サービスを評価するという話になると、その項目として、例えば、次のようなものが挙げられます。

 受注の締め切り時間、納期の時間指定、リードタイム(注文してから納品にいたるまでの時間)、注文単位、配送頻度、欠品・品切れ、配送の信頼性、流通加工の程度 etc。

 これらの項目は、互いに独立したものという訳ではありませんので、内容が重複しているものもあります。また、場合によってさまざまな項目があるので、あくまでも「ひとつの例」として項目を挙げたものと考えてください。しかし、いずれにしても、すべて「需要に対応する」ための項目です。
 例えば、受注の締め切り時間納期の時間指定は、モノがほしいタイミングで配送されることを要求するものです。というのは、締め切り時間が早ければ、あらかじめ欲しいというものを考えておく必要があります。ですから、その分タイミングに合わない可能性があります。また、時間指定はいうまでもありませんよね。リードタイムも同様にタイミングの問題に関連します。リードタイムが長いということは、注文してから手元に納品されるまでに時間がかかることを意味するからです。
 注文単位がどの程度かということも、サービスを受ける側にとっては重要なことです。なぜなら、モノを運ぶ場合には、大きなトラックに例えばウーロン茶などを積んで、いっぺんにまとめて運んだ方が、小さなトラックで少ないケースで運ぶ場合に比べて、運ぶためにかかるコストは、他の条件が同じであれば、低くなるでしょう。それゆえ、注文単位が大きいほうが、運ぶ側からすれば望ましいといえます。しかしながら、「需要に対応する」ということになれば、まとめて運ぶよりも相対的に少ない量を(小さな注文単位で)必要な分だけ何度も運んでもらう方が(つまり配送頻度が高いほうが)良いというわけです。
 「多頻度小口輸送」という表現を聞いたことがあるでしょうか。これは、文字通り、少ない量の荷物(小口の貨物)を頻繁に輸送するというものです。かなり大雑把な表現なのですが、モノに必要なタイミングに応じて輸送をすれば、それだけ「需要に対応している」ことになります。また、在庫に関しても、必要に応じて輸送している限り、必要以上のモノを保管しておく必要がなくなるかもしれませんし、頻繁に輸送することで欠品の生じる可能性を抑えることになるかもしれません。在庫をもちすぎて損失が生じるということを在庫リスクと呼ぶとするならば、こうした多頻度小口輸送を適切に行う限りは、このリスクを減らすことになるかもしれません。
 しかしながら、多頻度小口輸送が適切に行われていない場合、すなわち、多頻度小口輸送を行う上で、在庫管理や配送の仕組み(システム)などが不十分で、やみくもに必要なものを必要なときに運んでいるような場合には、物流サービスの質は確保できても、「空気を運んでいる」ようなトラックが多くなって、結果として必要以上に輸送コストかかるかもしれません。それは、環境にも良くないでしょうし、他にもさまざまな問題を生じさせる可能性があるでしょう。繰り返し申し上げて恐縮ですが、「トレードオフ」ということを考えると、何度も輸送するということは、それだけコストがかかることになります。
 さて、以上のような話は、基本的にモノを運ぶタイミングに関連する話でした。その他にも、物流サービスの内容としては、間違ったところに配送してしまう、あるいは注文したものと数がちがうということもありそうです。これは、配送の信頼性に関する問題です。確かに注文は小さい単位からでも運んでもらえて、到着時間指定に対応してくれるという場合であっても、上のようなことがあれば、それはサービスの質を下げているものと考えられます。
 さらに、流通加工をどの程度するかということもサービスの質に含まれるかもしれません。ここで流通加工とは、モノの流れの中で商品を加工することを意味します。具体的な例としては、商品の小分け、ラベル張り、検品、さらには時として商品の簡単な組み立てなどが挙げられます。これをどの程度行っているかということも、サービスの質の中に入ってくることもあります。
 さて、こうしてみると「需要に対応する」という意味での物流サービスの質について、具体的にどのようなものかが漠然とではあるもののイメージできたかと思います。これらのサービスの質を確保しようとすれば、コストがかかります。すなわち、コストとサービスの質との間に「トレードオフ」の関係があります。このとき、最も効果的な形で物流サービスを提供するには、どのような選択を行うことが適切か、という問題に直面することになります。在庫管理の問題は、この点にまさにかかわる話のひとつです。加えて、実際に物を運ぶという段になると、これに配送の問題もかかわってきます。

■ ロジスティクスの考え方の整理
 いろいろな問題が絡んでくるということに関連して、もうすこし話を進めることにしましょう。これまで、物流サービスの質を評価する項目について話をしました。そして、在庫管理の問題や実際にモノを運ぶ上でのサービスの質とコストとの関係についての問題があるという話をしました。
 これらの点を踏まえて、ロジスティクスについて考え方の整理をしておきましょう。以前、私は「ロジスティクスを論じる」とは、原材料の調達から、生産を行い、最終消費者にいたる一連のモノの流れという現象に対して、ある目標に応じた基準に照らして、評価を行う(斬る)、ということを意味します。と申し上げました。
 いままでの話をもとにすると、ある「目標に応じた基準に照らして、評価を行う」というのは、単にコストを最小化するという基準だけではなく、「需要に対応する」という意味での、言い換えればサービスの質という基準とコストとの兼ね合いで、望ましい選択肢を選ぶというものと解釈できます。
 ここで物流管理とロジスティクスという言葉を分けるひとつの考え方として、物流を論じる(物流管理)という場合には、基本的には物流にかかるコストが中心的な問題とされています。それに対して、ロジスティクスを論じるという場合には、コストだけではなく「需要に対応する」ための物流サービスの質も含めて議論する、という区別をすることもあるようです。(「することもあるようです。」というあいまいな表現を用いることをお許しください。このような表現を用いたのは、前に申し上げたように、これらの言葉が、必ずしも一意的に用いられていないように見えるためです。)
 基本的にロジスティクスもモノの流れを管理する考え方ですから、こうした「需要に対応する」という話になれば、そもそもどれだけ生産して、どのように消費者に販売するか、という意味での生産管理の問題、ひいては企業経営の問題も入ってきます。この企業経営に関連して「ロジスティクスには「戦略」を伴う」というような言い方をする文献もあります。その一方で、モノを運ぶコストという議論、つまり輸送の問題も入ってきます。私の最初の回で申し上げたことの繰り返しですが、ロジスティクスを論じるという場合には、基本的にはモノの流れを管理について考えるということになるのです。ですが、そこにはさまざまな議論の枠組みが入ってくることになるわけです。

■ サードパーティ・ロジスティクス
 さて、もうひとつ話したいことがあります。私は物流サービスの評価項目を紹介する中で、誰が誰に対して物流サービスを提供するものなのかということを、はっきりと申し上げておりませんでした。例えば、通常のサービスであれば、顧客がいて企業がその顧客にサービスを提供するという話になります。それに対して、物流サービスという場合に、誰が誰に対してサービスを提供するかというのは、時と場合によって異なります。ひとつには、先ほどお話したように、企業内における物流部で物流サービスを提供する、ということもあるでしょう。それに対して、企業の外部の物流事業者にお願いすることもあるかと思います。これは、物流サービスというものが、自社内でも提供できるということに起因します。加えて、企業の外部に委託する場合でも、物流サービスの中でも配送だけをお願いすることもあれば、部品組み立てのような流通加工までも含めて業務を委託することもあります。
 ところで、前にお話したように、近年の自営転換(自家用から営業用への転換)の促進という流れ、規制緩和の流れ、情報化の流れのなかで、物流業務を自社外の企業が物流業務を包括的に請け負うという事業形態も現れてきています。このような事業は、サードパーティ・ロジスティクスと呼ばれます。サードパーティ・ロジスティクスは、非常に重要なトピックのひとつなので後の回で詳しく説明したいと思います。
 以上をまとめますと、ここで申し上げたかったことは、1)企業内・企業外でのサービスが提供される可能性があることと、2)企業外で委託する場合には、物流サービス(荷役、輸送、保管、包装、在庫管理、情報管理など)の内のさまざまな範囲での委託の可能性があること、というふたつです。

■ サプライチェーン・マネジメントとサプライチェーン・ロジスティクス
 企業の内部と外部ということについて、もう少し話を進めて見ましょう。企業の活動は、ごく大雑把に申し上げれば、原材料などを投入して、生産物をつくり、それを販売するという過程をとると考えます。その際、原材料の調達にかかる物流は調達物流と呼ばれ、顧客(需要家)に向かう物流を販売物流と呼んでいます。
 さて、どこが調達物流の過程でどこが販売物流の過程かは、各企業によってさまざまです。基本的には、その企業の活動内容に依存して決まります。この表現はちょっとわかりにくいので、いままで何度もでてきたウーロン茶の例で考えて見ましょう。ウーロン茶がわれわれの手元に届くまでという例をとっても、お茶の葉っぱを生産する農家、ペットボトルを生産する企業、そしてウーロン茶を生産する企業、生産されたウーロン茶を小売店に卸す企業、コンビニなどの小売業など、さまざまな企業が絡んでいます。そして、それらの企業が、それぞれの立場から原材料の調達をして、生産を行い、それを顧客(別の企業)に対して生産されたモノ(中間生産物、最終生産物)を運んでいるわけです。例えば、ペットボトルを製造する会社は、ペットボトルの材料を調達し、それを顧客であるウーロン茶を生産する企業に販売するわけで、その際、それぞれの企業ごとに、調達物流、販売物流の側面があるわけです。
 このように各企業ごとに調達と販売の側面があります。しかし、その一方で、ウーロン茶が最終的にわれわれの手元に来るまでの流れのように、原材料の調達から最終需要家(消費者)にいたる経路には、一連の連鎖(垂直的な過程とも呼ばれます)があるわけです。前回ご紹介したように、こうした連鎖を供給連鎖、すなわちサプライチェーンと呼んでいます。そして、サプライチェーン・マネジメントとはこうした供給連鎖の管理を試みるものです。
 原材料の調達から最終消費者までにさまざまな企業が絡んでいるとして、それらの流れにかかわる企業について、個々の目的に従って活動するのではなく、川上から川下にいたる垂直的な過程全体としてのまとまりの何らかの利益(付加価値)を得ることを目的とし、そしてそれをもとにしてチェーンに属する各企業が活動すること、ここにサプライチェーン・マネジメントの意図はあります。
 ところで、サプライチェーン・マネジメントを考える場合、モノの流れの一つの側面を見ただけでは不十分であり、商取引や情報などの考えを含んだ流通という観点が不可分であることが容易に想像できるでしょう。また、いくつかの財については、小売店が担うこともあります。ここまでくると、最初の回で触れたように「流通」のあり方を論じるところにまで話を踏み込ませることになります。さらに、これは流通論などの分野の内容である一方で、経済学の分野における産業組織論(大雑把に言って、産業に対しての経済的な分析を行う分野です)の枠組みでも議論されうる話です。
 そこで、最近では、サプライチェーンのなかでもモノの流れの管理に着目して議論する場合に「サプライチェーン・ロジスティクス」という表現を用いることが多くなってきました。サプライチェーン・ロジスティクスの考え方について、ここではロジスティクスが主としてひとつの企業の中でのモノの流れを管理するものであったのに対して、サプライチェーン・ロジスティクスは、サプライチェーンの中で包括的にモノの流れを管理するものなんだなと(さしあたっては)考えておいてください。
 以上、ロジスティクスなどの一連の概念やら考え方やらを(かなり漠然とではありますが)紹介しました。そこで、次回は、いよいよ、実際の企業の事例をもとにお話をしたいと思います。企業の事例をみることで、今まで私がしてきた話について、何を問題として何を論じているかをもう少しはっきり示せたらいいな、と考えています。

それでは、またお会いしましょう。

(次回は2006年1月18日更新予定)

<参考文献>
 今回は、ロジスティクスについて、整理されている入門書をご紹介します。ロジスティクスの入門書については、前にもご紹介したものですが、今回も以下の本をご紹介します。私がお話しようとした内容についても詳しく書かれています。

菊池康也著『最新:ロジスティクス入門(3訂版)』税務経理協会

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ロジスティクスにおける「費用」、「サービスの質」および「在庫管理」

 こんにちは! いよいよ9月ですね。私がこれを書いている時点では、残暑が厳しく、台風が関東に上陸したりしていますが、これが掲載されるころには涼しくなっているかと思います。この季節は、本を読んだり、運動したり、おいしいものを食べに行ったり、何をするのにも良い季節だな、と思います。これをお読みになっている皆さんは、この季節をどうおすごしですか?
 さて、前回、「物流」という言葉を使った場合に、捉える立場によって話が変わってくるというお話をしましたよね。その際、問題となるのはどのような立場でモノの流れについて焦点を当てるかということでした。そこで、「ミクロ」の見地、すなわち企業経営の立場で考えていきましょう。

■ コストの削減とサービスの質
 「ミクロ」の見地、ないしは企業の立場でモノの流れを考えるという場合に、こんなことを考える必要がありそうです。つまり、企業は基本的に「利潤を最大化する」(利潤は、収入から費用を引いたものでしたよね)という行動原理を有しているとしましょう。この想定はそれほど変な想定ではないと思います。このとき、企業は、利潤を大きくするという目的のもとで、モノの流れを管理するかが問題になるわけです。これは、私の第1回の「ロジスティクスを考える?」の中で触れたように、どのように基準を設定して考えるか、つまり「どのように『斬る』か?」ということに関わる話です。今回は、ちょっと理屈っぽい話になってしまいますが、少しがまんしてくださいね。
 さて、利潤を大きくするというためには、基準は物流の「費用あるいはコスト」を下げるということが考えられるでしょう。というのは、収入が同じ額で費用だけが下がれば、その分だけ利潤は増えることになるためです。そうだとすれば、物流にかかる費用をどのように下げるかということは、利潤を増やすという目的にあってますよね。
 しかし、費用を下げることに加えてもうひとつの考え方というのもあります。それは、「サービスの質」に関するものです。私たちの生活の中で考えてみても、何かの財について、値段が安くなる代わりに「質」も落ちるという常にそれを良いとするわけではないですよね。例えば、ブランド物のバックや高級車などをイメージしてください。「質」がよければ、多少高くても購入するということはあるはずです。そして、こうした質の向上は、付加価値の創出につながります。(付加価値という言葉、ご存知でしょうか?企業における価値創出については、柳田先生の経営学の話にも関連しています。ご一読ください。)そうして、新たな価値が生まれて、それが企業の収入の増加につながれば、利潤の増加ということにかかわってくると思われます。モノの流れを管理するということでも同じようなことがいえるのです。
 このように、利潤を増やす源泉として、費用を下げること、「質」を上げて収入を増加させることのふたつの選択肢が考えられます。ここで、以前に紹介した機能を思い出してください。物流の機能に関して言えば、輸配送、保管、荷役、包装、在庫管理などがあることをお話しました。これらの機能に関してもこれらの機能の中で、いかに費用を削減できる余地があるかを考えること、あるいは「サービスの質」を高めるか、ということです。
 物流における「サービス質」ということについては、いろいろと解釈ができます。例えば、コンビニにウーロン茶が消費者にとって必要な分だけ、きちんと置いてある状態であったり、あるいは物自体が破損しないできちんと運ばれているということもあるかもしれません。
 実際、モノの流れを管理するという場合に「サービスの質」というものがさまざまな解釈ができるために、それらを評価するための指標が複数存在することになります。とはいえ、いずれの指標もモノを運んで消費者に販売する「市場」であるとか、そこでの「消費者の需要」ということに依存しています。私はここまで「物流管理」という場合と「ロジスティクス」とを明確に区別しておりません。ただ、これらの2つの言葉に異なる意味を与えているとすれば、費用を基準とするか、「サービスの質」も含んだ包括的なもの考えるかというところに何かありそうです。

■ モノの流れの管理における「サービスの質」と「在庫管理の問題」
 「サービスの質」についてもう少し考えて見ましょう。物流のサービスを考えた場合に、その質を表すであろう指標のひとつは、最終消費者に関するものです。最終消費者というのは、例えば、工場で生産されたウーロン茶などをコンビニで購入する人のように、一連のモノの流れの中で最終的に購入・消費する人と考えてください。最終消費者の視点からすると、欲しいと考えているものが欲しいと思うタイミングでモノがとどくというのは重要なことです。コンビニにウーロン茶を買いに行ったのにそれがないときの気持ちを想像してみてください。
 そういえば、欲しいときに欲しいものがないということで、こんな話を思い出しました。この前、携帯を変えようと大きめな携帯電話会社の直営ショップに行きました。そこでは、お客さんが多いために、なかなか順番がまわってきませんで、ようやく自分の番と思ったら「その機種はありません。」とのこと、悲しい思いをしました。もちろん、ショップの定員さんにはいろいろと気を使っていただき、機種のお取り寄せしますよともおっしゃってくださったのですが・・・さすがに何度もショップに足を運ぶ余裕がないので、当面は機種変更をあきらめることにしました。
 ここで何が申し上げたいかというと、私がいかに「わがまま」であるかということと、「必要とするときのタイミングでその商品があるというのは、実は重要なこと」ということです。そして、それは物の流れを管理する上での一種の「サービスの質」にとも考えられるものなのです。
 ただ、消費者が欲しいというときに、すぐに提供できることがいいんだといったとしても、闇雲にすべてのものを入れておけばよいというわけではありません。というのは、さきほどの携帯の機種に関していえば、1年に1台売れるかどうかわからないものを長い間保管していてもショップとしては保管に手間がかかるわけですし、それが結果として返品されてしまえば、元も子もないためです。つまり、在庫をおいておくことによって余分な費用が発生してしまうからです。ですから、店の側からすれば、1年に1台注文があるかないかわからないようなものについて、それを在庫にしておくことは、余分な費用がかかってしまい合理的ではないかもしれません。
 つまり店に消費者が求める商品がない状態(これを欠品といいます)と在庫を持ちすぎている状態には、(一方を立てるともう一方が立たないという関係を意味する)「トレードオフ」の関係があるのです。このような「トレードオフ」の関係があると、どれだけの在庫を保持しておくことが適切か?―在庫管理の問題―が大事になるわけです。

■ 在庫管理の手法
 では、在庫管理の方法(考え方)は、どんなものがあるのでしょう。実は、この問題はかなり多くの研究がなされています。ここでは、伝統的な(?)考え方を紹介しましょう。在庫管理の手法での基本的な考えは、どれだけの量どのようなタイミングで調達するかということです。
 タイミングに関していえば、2つに分類できます。ひとつは、常に決まった時期に発注を行うもので、もうひとつは、決まった時期ではなく不規則に発注時期を決めるものです。前者は定期発注と呼ばれ、後者は不定期発注とよばれます。さらに、決まった量(定量)を発注するのか、そのつど違うのか(不定量)でも変わってきます。したがって、定期定量発注、定期不定量発注、不定期定量発注、不定期不定量発注、の4つに分けられるということになります。いずれの発注方式であっても目的を達成のために(例えば、全体的な費用・トータルコストを最小化するといったような目的です)望ましい選択肢(発注量や発注のタイミングなど)を考える手続きがとられます。
 これらの発注方式がどのような場合に用いられるかということなのですが、これは、取り扱われる商品によって異なってきます。このうち、定期定量発注というのは、決まったときに決まった量を、不定期不定量というのは、その逆ということになります。さらに、定期不定量発注は、発注する時期が固定されているので、どれだけの量を発注するか(発注量)が問題になります。それに対して、不定期定量発注は、いつ発注するかが問題になるわけですが、ある一定の在庫の水準を下回った時点(発注点と呼ばれます)で決まった量を発注するということになります。下に定期不定量発注と不定期定量発注の図を示します。話はそれほど難しくありません。ここで、「発注」してから商品が届く「入荷」までの時間は「リードタイム」と呼ばれます。この言葉は、覚えておいてください。「リードタイム」をいかに短くするかというのも、ひとつの指標となりえます。
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 ちょっと注意すべきこととして、これらの手法は在庫管理の概念的なものを単純化して表現しているものと考えてください。実際には、財の需要が事前にはっきりしているかあるいは不確実かという問題や、それらのうちコンビニのように複数の種類の財(商品)を扱う場合など問題があって、もっと複雑になっています。

■ 情報技術(IT)の発展
 ところで、最近では次のような指摘をすることもあります(下の参考文献を見てください)。つまりかつては、在庫が読めないということで上のような技法が紹介されてきたのですが、最近の「情報技術(IT、 Information Technology)」の発展によって、在庫状況がタイムリーに把握することができ、それゆえ、不定期不定量の発注が容易になってきたし、現実としてそれが現在の在庫管理の主流であるというのです。
 情報技術もしくはITという言葉は、最近ではちょっと流行遅れの感のある言葉なのですが、実はこのようなところでも影響を与えているのです。これは、物流やロジスティクスに限った話ではなく、e-コマースであるとか電子商取引と呼ばれるものの進展はきわめて大きくなってきました。もちろん、情報技術の発展は他の分野にも影響を与えていますし、国の経済全体の生産性(国全体でのどれだけ付加価値をだしているか)にも影響を与えている可能性もあります。ITが国の生産性に与えた影響を計測するという研究は最近よく見かけます。
 モノの流れの話だったのに、ITの話まで出してしまったので、横道ついでにもうすこし話をそらしてしまいます。ここまで、私の部屋を見ていただき、また他の先生のお話を見ていただいたことでしょう。それらの他の先生の連載を読んでお気づきになったかもしれませんが、「経営学」、「経済学」、「マーケティング」、「会計学」などは、何かの分析を行うという枠組みであって、その枠組みの紹介になるのです。物流論やロジスティクスを論じるという場合には、どちらかというと「経営学を使って考えますよ。」ですとか、「マーケティングをつかって考えますよ。」という話が混ざっていて、その意味で、これらの枠組みを応用したものと理解していただくと良いかと思います。時間に余裕があれば、他の先生方の枠組みと私の連載の中での話がどのように関係しているか考えてみてください。

■ サプライチェーン・マネジメント
 さて、話を戻しましょう。モノの流れを管理するという考えの下で、最終消費者の「需要」であるとか、「市場」を気にするということになってくると、この問題はひとつの企業だけで完結するわけではないといえます。つまり、「ロジスティクス」といったときに、生産から最終消費者に至るまでのモノの流れを管理する概念とお話しました、そうだとすると、企業経営の物流という場合に、原材料を調達する企業、生産をする企業、卸売り、小売、それぞれがモノの流れにかかわっているはずです。ウーロン茶の例を考えてください。ウーロン茶が最終消費者の手に渡るまでには、農家、生産工場、コンビニ、などさまざまな企業がかかわっています。こうした一連の流れが、ひとつの企業で完結することは、ほとんどないといってよいと思います。
 ここで、いままで紹介してこなかったのですが、ここでいよいよ「サプライチェーン・マネジメント(SCM、Supply Chain Management)」という言葉が出てくることになります。サプライチェーンは、「供給連鎖」とも呼ばれ、原材料の調達から最終消費者への販売に至るまでの一連の流れにおける供給者・企業のつながりと考えてください。サプライチェーンの中では、一つの企業だけではなく、生産を行う企業、物を輸送する企業、小売業など、供給連鎖の中にはさまざまな企業が関与することになります。そして、これらのサプライチェーンを管理することをして「サプライチェーン・マネジメント」と呼ぶようです。
 この「サプライチェーン・マネジメント」は非常に重要な話であるので、後に詳しくお話するとして、次回は具体的なお話をしたいと思います。特に、在庫管理と申し上げたのですが、在庫を全くもたない企業というのもあるのです。
 今回はどちらかというと抽象的な話が多く、「具体的なイメージがつかみにくい!!」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね。ですので、次回はその企業の事例のご紹介をしながら、話をしようと思います。それでは、またお会いしましょう。

<参考文献>
 今回の参考文献は、これまでご紹介したものをご一読いただければ、と思います。それに加えて、今回は以下の本をご紹介します。いずれの本もトピックごとにまとめられているので、読みやすいかと思います。

湯浅和夫著、『物流新時代の在庫管理ハンドブック』、PHP研究所
zaikokannrihanndobukku








湯浅和夫編著『物流管理ハンドブック』、PHP研究所
buturyuuhanndobukku

「物流」に関する問題とその見方を考える

■ 暑いですね
 こんにちは。暑い日が続いています。これが載るころにはもっと暑くなっていることでしょう。とはいっても、皆さんは、おそらくクーラーのきいた涼しい部屋でご覧になっているでしょうね。
 聞いてください!信じられないことに、私の勤め先の大学では、もう“21世紀”なのにもかかわらず、クーラーのついていない教室がいくつかあります。暑い日にそんな教室で授業すると本当に大変です。授業をする私はまだいいほうで、聞いている学生さんはもっと大変なのではないかなと思います。(自分が話すよりも人の話をちゃんと聞くほうが大変だと私は思います。)実際、教室ではなくても、これをご覧になっている皆さんの中には暑い環境の中にいる方もいるかもしれませんね。
 はじめから話がかなり横にそれてしまいました。今回も少しお時間いただきます。

■ 「ロジスティクス」と「物流」
 前回は「ロジスティクスを論じる」とはどういうことか、という話をしました。今回は、はじめにその続きからお話しましょう。繰り返しになりますが、「ロジスティクス」とは、さしあたって与えた意味として、「モノの流れについてある一定の考え方のもとで管理する概念」というものでした。ただし、モノの流れはひとつの現象であって、それを論じるためには何かの基準をもとにして、ある種の善し悪し(望ましさ)について検討する必要があります。いいかえれば、ある種の判断で『斬る』あるいは評価する、ということが「ロジスティクスを論じる」ということでした。その場合、いろいろな方法(『斬り方』)によって、善し悪しやら望ましいあり方などについての評価があるのです。これは、前にお話した通りです。
 さて、その場合、モノの流れを対象とするといっても、何を基準とするべきなのでしょうか。そもそも何を評価することが求められるのでしょうか。それを考えるのに、「物流」という言葉にも注目する必要がありそうです。というのは、「ロジスティクス」は、モノの流れを管理するという考え方であるのですが、「物流」あるいは「物流管理」という言葉にもそのような意味が与えられていると考えられるからです。実際、これらの言葉をほとんど同じ意味で用いている文献もあります。
 この「物流」の語源は、「物資流動」であるとか、「モノの流れ」などのような言葉の略語であるといわれることもあります。しかしながら、「物的流通」を省略して「物流」というのが最も一般的のようです。「物的流通」という言葉が表すように物流は「流通」とも深いかかわりをもつことを示しています。そうはいっても、あまり難しく考えすぎないで、さしあたりはモノの流れに関連することなのだな、と考えておいてください。
 少しはなしが細かくなってしまいました。いまから申し上げたいことは、「物流」というものについて問題にする場合、あるいは「物流を論じる」という場合に、おおざっぱに分けて二つのものの見方があるということです。

■「物流」にかかわる問題?
 私は前回、モノの流れの管理を議論する際に、“時間の克服”や“距離の克服”を考慮する必要があり、さらにそれらは“消費者の需要(ニーズ)”に対応させるべきものである、という話をしました。そこで、いまいちどウーロン茶のについて考えてみしょう。ここでは、何を問題にするかということに注目してください。
 あるトラックがコンビニにウーロン茶のケースを運んできた状況について、いろいろ考えてみましょう。その場合、「コンビニまでどうやって運ぶか?」という問題がひとつ考えられますよね。コンビニのフランチャイズを行う企業は、ウーロン茶をいつ、どうやって、どれだけ各店舗に配送するのが良いかを当然考えているはずです。その際、“消費者の需要”に応じるような数量を運ぶ必要がありますし、また、トラックの経路も考える必要があるでしょう。

■ 「自家用」と「営業用」
 それらに加えてウーロン茶を「誰が運ぶか?」というものも重要な問題のひとつです。もちろん運転手さんが運ぶのですが、ここで言いたいのは、企業が自分自身でトラックを保有し、運転手を雇って配送する場合もあれば、運送会社にお願いすることもあるということです。ちなみに、ある企業が自分の会社でトラックなどを融通して品物を運ぶ場合、それは「自家用」輸送と呼ばれ、運送会社が運ぶ場合には「営業用」輸送と呼ばれます。
 直感的な議論なのですが、「営業用」のトラックは、たくさんの製品をできるだけつめて運んだ方がより多くの収入を得る可能性が高いでしょう。ですから、多くの荷物を運ぼうと考えることが自然でしょう。そうだとすれば、(輸送を行う)市場全体としてみたときに、それぞれに企業が各自トラックを保有して荷物を運ぶよりも、運送会社がいろんな荷物をまとめて運んだほうが「望ましい」という考えもできます。
 私がここで「望ましい」という言葉を使ったのは、全体として効率が良くなる(可能性がある)ということを意図しているということと、それに関連して、環境などの影響に関してもプラスであるということを意図しています。つまり、必要以上にトラックを走らせない分だけ、例えば、ガソリンなどの燃料の消費量が減ったり、排気ガスが少なくなるという意味で望ましいと考えています。そういったことも踏まえて、「自営転換」というキーワードのもとに、できるだけ「自家用」から「営業用」の輸送の転換を促そう、という議論もあるようです。
 ところで、環境問題は今後重要になってくるキーワードのひとつです。最近では、いかに環境問題に対して取り組んでいるかがひとつの企業としてのアピールになるそうです。また、トラック輸送に関して言えば、東京都のディーゼル車に対する規制も大きく取り上げられました。(何年か前に、東京都知事がビンの中に黒い粉の入ったビンをもってきて、それを振るとビンの中が真っ黒になるのを見せて、「ディーゼル車によって空気がこれだけ汚れている!」とアピールしたのを見たことありませんか?)環境を維持するために物流産業に対してどのような規制を加えるかということも、行政のないしは公的な(社会的な)問題になるのです。

■ 輸送手段の選択と政府のかかわり
 ウーロン茶のことを考えていたらいつのまにか問題が環境問題のほうにいってしまいました。再び戻って、ウーロン茶が工場から倉庫(物流センター)に運ばれる場合などについてみてみると、そもそもモノを運ぶという場合に、どのような輸送機関(トラック、船、鉄道)を使うか、というのも問題のひとつになるでしょう。さらに、トラックを使うということになる場合でも、例えば、静岡にある工場でできたウーロン茶を東京にトラックで運ぶというような場合に、高速道路を使うか一般国道を使うかという問題もありそうです。この場合、そうした道路を利用するといった場合には、高速道路の料金や利便性によって利用頻度は違ってくると考えるのは自然ですよね。
 ところで、政府などのような公的な主体(公共部門)には、輸送を全体的に円滑に行うことを促すことによって国の経済を活性化させるという目的があるとしましょう。実際、海外のある政府では「物流」を血液の循環にたとえ、それをスムーズにすることで経済に正の効果がもたらされることをアピールしているそうです。このとき、道路など施設の整備・運営をどう行うべきかが問題となるのです。これに関しては、道路に限らず、空港・港湾のあり方についても同じことが言えます。
 さらにいえば、政府の政策に関して言えば、「規制緩和」ですとか「規制改革」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか? この規制緩和は物流産業に対してもいろいろな影響を与えています。(「規制緩和」は、物流産業に限らずさまざまな分野に対して行われてきました。その影響や効果についてもお時間があれば、関連する本をお読みになると良いかもしれません。)

■ 物流に関する2つの見方
 さて、ここまで読んでいただくと、「物流」というキーワードを取り上げて、それにかかわる問題についてあれこれ述べてきたのですが、それはひとつの企業が直面する問題にとどまらないわけです。コンビニの直面する問題や、物流産業の直面する問題、そして政府の直面する問題など、さまざまな立場や段階に対して問題があることがわかります。そして、どの立場にたって(例えば、ウーロン茶の製造会社、コンビニ、政府、運送会社など)考えるかに依存して問題のとらえ方も異なることは、容易に想像できますよね。(さしあたっては、こんなにいろんな問題があってそれは、どの立場に立つかによって問題の考え方が違うのか!と思っていただければ、ここでは十分です。)
 もちろん、前回お話ししたような企業経営の見方から生じる問題もあります。ウーロン茶を生産する企業が、自らの企業の利潤(利益)を大きくする、もしくは費用を削減するという目的にそって行動をとるとすれば、前回お話をしたように、どんな形で輸送をするか、どれだけの在庫を持っているか、どこに倉庫(物流センター)を配置するか、という問題に直面するでしょう。また、そもそもモノの流れをスムーズにしかつ透明にする(つまりどこにどれだけのモノがあるかを把握する)ために望ましい組織とは何かということも問題となります。これらはある企業が経営を行う上で直面する問題と考えられます。

 さて、このように「物流」なるものを考えていくと、ひとつは企業経営(あるいは企業間の経営)の立場から、いかに多くの利潤を上げる(あるいは企業にとっての価値を高める)ために物流を行うか、というとらえ方があります。そして、もうひとつは政府(あるいは公共部門)の立場から、道路貨物輸送など物流産業やあるいはモノを運ぶ道路、空港、港湾などの基礎施設(いわゆる、交通インフラストラクチャーと呼ばれるものです)などに対して望ましい政策のあり方を考えるというとらえ方があるようです。
 つまり、はじめのほうで「物流」に2つの見方があるといったのは、上の話をまとめて、

企業経営をベースとして「物流」を議論するもの
物流産業やその輸送のための基礎施設(インフラストラクチャー)に関して政策的な側面から「物流」を議論するもの


という2つを指しています。おおざっぱに言って、企業経営レベルで見るか、そうではないかの違いと考えてください。前者のことをミクロの物流と呼び、後者をマクロの物流と呼ぶこともあるようです。(ここでのミクロ・マクロという表現は、経済学でいうところのミクロ経済学・マクロ経済学の分類とは違った言葉の使い方をしています。ですので、これをご覧になっている大学生の方で経済学をご存知の方は注意してください!!!)

 実際、企業経営の立場なのか、運送会社の立場なのか、物流産業ないしは市場全体の立場なのか、あるいは政府の公的な立場なのかをはっきりさせずに、これら2つの見方を並列させて議論してしまうと、結局「物流」を論じるといっても、何を問題にしているのかよくわからなくなってしまうのです。つまり、私がここで申し上げたいのは、「物流」などを議論する場合にも、「斬り方」だけではなくて、立場によっていろいろな見方があるということ、その問題を捉える段階があることに注意する必要があるということです。私は,ここまでにウーロン茶の話、自家用営業用の話、高速道路の利便性などのいろいろな例を挙げましたよね。みなさんは、それが誰にとっての問題(企業,運送会社,政府)になりえるかをそれぞれ整理してみてください。
 これらの分類や見方が違うということについて、そうはいっても「このことがどんな意味をもつのだろう?」とお考えになる人もいるかもしれませんね。しかし、「物流」や「ロジスティクス」に限らず、何かの事柄について議論・検討する場合には、何を対象として、何を問題にするか、そしてどんな基準で評価するかを明確にする、ということは非常に重要なことなのです。それらがはっきりとしないで闇雲に考えても混乱を生むだけです。ここで言うところの、政府による物流に関する政策について議論することと、ある企業の輸送における配送問題のようなことを同じところで議論することは、やはり具合が悪いと思います。ちなみに、「物流を論じる」というのではなく「ロジスティクスを論じる」という場合には、どちらかというとミクロの視点にもとづいて検討を始めていくことが多いようです。

■ 企業経営における物流の役割
 今回、ロジスティクスに関する内容を紹介したというよりは、むしろ何に注意すべきかについて延々とお話しする形になってしまいました。しかし、上で挙げたような2つの見方は重要なので心に留めて置いてください。
 次回から数回にわたっては、企業経営における物流というミクロ視点から、ないしは「ロジスティクス」を論じるという方針で話を進めたいと思います。(本当は今回この話にも触れようと思っていたのですが、ついこの話にページを多く割いてしまいました・・・)
 その中でそもそも物流やロジスティクスを議論する場合に、何を材料にして結果何を得るのか、という見地から諸機能を分類します。それから、特に機能の中でも在庫管理についてこれまでの議論についてもお話をします。在庫管理に関連して、この話をするために、いくつかの会社で面白い試みをされている例があるので、それについてご紹介する予定です。
 そろそろ、時間が来てしまいました。それではまたお会いしましょう。

【参考文献と本を読む上でのちょっとした補足】
 今回は、次の本を参考にしました。前回ご紹介したものと一緒にお時間があれば読んでみてください。ただ、注意すべきこととして、今回ご紹介した本以外でも、「物流」や「ロジスティクス」を冠した本がたくさんあるのですが(時間があれば、ちょっと大きめの本屋さんに行ってみてください)これらの言葉に対して与えている意味が著者によって“少し”(時として“かなり”)異なっていたり、あるいは分析の対象となっている事柄のレベル(ミクロ、マクロ)や問題の与え方の違うことがあります。
 ですので、この手の文献を読む場合には、著者によって同じ言葉でも言葉に与える意味に違いがあるという可能性を念頭に置きながら、それぞれの著者が物流・ロジスティクスという現象について、どんな斬り方をしているか、あるいは何を問題としているかをも考えながら読む必要があります。(うーん、私の申し上げたいニュアンスが伝わるでしょうか・・・・)
 以下の書籍は、この分野の代表的な先生方がお書きになったものです。ミクロの物流の見地から議論をすすめています。また、この本の序章で今回お話したようなミクロとマクロの違いについても詳しく述べられています。感心のある方はぜひご一読ください。

中田信哉、湯浅和夫、橋本雅隆、長峰太郎著、『現代物流システム論』、有斐閣アルマ、2003年

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ロジスティクスを考える?

こんにちは!
この小部屋を訪れてくださってどうも有難うございます。これも何かの縁ですから、ちょっと部屋のぞいてみてください。

■高校生から・・・
このページで私のお話するテーマは「ロジスティクス」というものです。
これをお読みになる高校生の方にとっては、はじめて聞く言葉だと思います。
また、経済・経営系の学部に所属する大学生の皆さんの中には、
「ああ、そういえば、『ロジスティクス論』っていう科目を履修したよ。」
ですとか、
「大学の『物流論』、『物流管理論』、あるいは『交通論』などの授業でロジスティクスって言葉を聞いたことがある。」
という方もいるかもしれません。大学でもずいぶん「物流論」や「ロジスティクス論」という講座を開講することが多くなったようです。
企業に勤めている方でお読みになっている方の中には、「ロジスティクス」さらには「サードパーティ・ロジスティクス(3PL)」「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」などという言葉を知っているどころか、実際にその業務に従事されている方もいるかもしれませんね。
ですが、ここでは文字どおり高校生「から」読めるように、進めたいと思います。もちろん、高校生「だけ」を対象にしているわけでは決してありませんので、大学生の方も社会人の方も見ていってください。

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はじめに

 私のコーナーでは、企業が何か製品を生産してそれが消費者の手に渡るまでの「モノの流れ」に着目します。
 こうした「モノの流れ」に注目した場合に、実際にはどのようなことが問題になっていて、それに対処するためにどのような考え方や概念が登場したか、あるいはそれらの概念がどのように変わって行ったか、などについて、具体的な企業の例などを挙げながらお話をする予定です。
 その中で、私の講義のタイトルでもある「ロジスティクス」という概念について、皆さんにとっては聞きなれないような言葉だと思いますので、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。
 さらに、その概念を説明していく過程で、最近よく耳にするようになった「サプライチェーン・マネジメント」や「サードパーティ・ロジスティクス」など概念を説明します。
 あわせて、それが理屈の上でどのような位置づけができるのかについても考えます。
 これらに加えて、政府の物流政策がこうした「モノの流れ」どのような影響を与えうるかということについても触れたいと思います。